失業保険をお得に受け取れると世間でよく耳にする職業訓練に通っていた経験があります。
実際に3ヶ月間の職業訓練を経験した実績をもとに、気になるメリットを始め、受講に至るまでの方法や訓練内容などを紹介します。


目次
職業訓練って何?
厚生労働省では公的職業訓練を「ハロートレーニング」という愛称にして、希望する職業に就くために必要な知識やスキルを習得できる公的制度を設けています。
ハロートレーニングには、失業保険(雇用保険)の受給者を対象にした「公共職業訓練」と、失業保険を受給できない人向けの「求職者支援訓練」に大きく分けられます。
失業保険を貰える人だけが対象ではなく、現在就職している在職者や新卒向けの学卒者を対象にした訓練も実施しています。
公的制度なので受講料は基本的に無料ですが、テキスト代など一部自己負担が必要で、在職者や学卒者向けの職業訓練は有料です。
訓練できるコースは多岐に渡っており、事務系に始まりIT、建築、製造、介護、造園、飲食など様々な職業を網羅しております。
パソコンの訓練を例すると、事務に必要な基礎コース、Webクリエーター、ネットワーク管理者など同じ分野でもレベルや職種ごとにコースが設定されています。
訓練期間はコースによりマチマチですが、大体2〜6ヶ月です。
期間の長いものだと1〜2年間の訓練もあります。
6〜7時限/日の授業を受けながら就職活動を並行して行い、期間の長い場合には職場体験をするコースも存在しています。
訓練する場所は、訓練コースにより国のポリテクセンター、都道府県の職業能力開発校、委託された民間の訓練機関で実施しており、交通費が支給されます。
以上が職業訓練の概要です。
職業訓練に通うメリット
職業訓練には様々なメリットがあり、失業中の不安を軽減する恩恵が受けられます。
経済的な支え
最大の収入手段である失業保険(雇用保険)に関するメリットがいくつかあります。
自己都合退職の場合、失業保険に3ヶ月間の給付制限がありますが、訓練受講と同時に給付制限が解除され、訓練開始から認定期間が始まるので受給のタイミングが短縮されます。
訓練期間が給付日数を超えても給付延長の措置があり、訓練開始前に給付日数の2/3以上の給付が残っているのが条件ですが、最長2年の延長が受けれます。
また、失業保険にプラスして日額500円の受講手当がもらえるので、有料のテキスト代も後から帰って来ると考えて差し支えないでしょう。
もちろん交通費の支給も受けられるので、多少遠方であっても安心して通学できます。
無料で勉強できることに加えて、失業保険を早く・長く貰えることは、訓練期間中の経済面を支えるくれる安心材料になるでしょう。
就職活動のサポート
希望する仕事に就職するために必要なスキルや資格取得に向けた勉強に集中できるのはもちろんですが、受講中には就職活動の面でもサポートを受けられます。
訓練中にコースに沿った求人を紹介されるので、個人での情報収集の他に希望する職種や業界の求人情報を入手して就職活動に活用できます。
更に定期的な個人面談を行なっており、就職活動の進捗状況に対する指導とともに、採用に向けた武器となる資格の紹介など適切なアドバイスを受けることが可能です。
訓練内容には履歴書作成、面接対策といったカリキュラムも組み込まれており、単に仕事に必要なスキルや資格を学ぶだけではなく、就職活動全般の必要な支援を受けられるメリットがあるでしょう。
ともに就職活動を目指す仲間の存在
職業訓練に通う生徒は、就職するという共通の目的を持って参加しており、挫折や妥協をしがちな就職活動中で同じ目標を持つ人が近くにいることは、モチベーションを維持することにつながります。
同じ目標を持った人同士で情報交換が出来るのも大きなメリットで、自分には合わない求人情報でも人によっては有益な情報となる可能性もあり、面接の経験などを共有することで自分が面接する際の参考にもなります。
また、訓練も平日の朝から午前3時限、午後3〜4時限の6〜7時限/日を受講するので、規則正しい生活を送ることの他、集団生活を送っていることで社会の一員であることを感じることができるのも不安な休職中には精神面で良い影響があると考えます。
申し込みから受講までのポイント
私の経験したWebクリエーターコースの「公共職業訓練」に申し込んで受講するまでの流れや手順を紹介します。
訓練したいコース選び
▼
ハローワークの訓練相談窓口で相談
▼
訓練先の見学
▼
ハローワークでの申し込み
▼
訓練先での選考
▼
合格すれば受講指示を受ける
訓練したいコース選び
受講したい訓練コースは、ハローワークで配布されるパンフレットやハローワークのインターネットサービスから確認できます。
私も出席したハローワークで定期的に開催される職業訓練に関する説明会に参加するのも非常にオススメです。
訓練先の関係者が訓練内容、就職率などの説明の他、個別に質疑応答を受け付ける相談会も行うので、不安や疑問に思うことを確認することができます。
また、申し込みたいコースよって募集時期が様々です。
在職中でこれから退職して職業訓練の制度を利用したい方は、給付日数が残っていないと申し込めない場合もあるので、募集時期と退職時期も考慮して選択してください。
ハローワークの訓練相談窓口で相談
受講したいコースが決まったらハローワークの訓練相談窓口に行きましょう。
私の経験では一次選考のような感じで、就職活動の進捗状況、受講資格の有無、受講の動機と内容が一致しているのか、など職業訓練に相応しいか確認されます。
人や地域によって複数回の相談が必要な場合もありますが、事前に説明会で内容確認していたこともあり、1回の相談で申し込みの手続き方法の説明を受け、受講申込書を貰いました。
募集期間は約1ヶ月ですので、早めに相談窓口に行くことをオススメします。
訓練先の見学
訓練先では見学会や個別見学を受け付けているので、是非現場を確認しておきましょう。
授業の雰囲気や受講内容を自分の目で確認しておくことで、資料や説明だけでは伝わらない状況も見ることができますし、本当に自分が勉強したいことを学べるのかが分かるはずです。
数ヶ月間過ごす場所になるので、職員の方やアクセスも含めて現場を把握しておくことと、選考時の面接対策のためにも事前の見学は非常に大事です。
ハローワークでの申し込み
まず、所定の受講申込書を作成します。
証明写真も必要で簡単な履歴書の作成をイメージすれば良いです。
希望職種・業種、志望動機、就職に活かす考えなどを記入する項目もあり、選考の面接で使用される資料にもなるので、必ずコピーをとっておきましょう。
切手を貼った返信用封筒とともに受講申込書をハローワークの訓練相談窓口に提出すれば申し込みが完了です。
訓練先での選考
募集締切の数日後、訓練先の機関から選考の日時についての連絡を受け、その指示に従って選考が実施されます。
選考は待ち時間にアンケートを記入しておき、その後に面接形式で執り行われ、
「希望する業種・職種はどこか?」
「なぜこのコースを選んだのか?」
「ここで学ぶ内容をどのように就職に活かすのか?」
「どんな就職活動をしてきたのか?」
など志望動機に関する質疑応答がメインです。
パソコン関連のコースの場合、受講のレベルに合っているかの確認もされるので、その他のコースでも職務経験やスキルなどの質疑応答があると考えてください。
私はもちろんのこと、選考を受ける人はスーツ姿でしたが、一部の年配の方がジャケパンで望んでいたことを記憶しています。
15分ほどの面接が終了し、合否の結果通知は郵送するとのことでした。
合格すれば受講指示を受ける
受講指示の手続きは、選考結果の発送日の翌々日に指定されているので、合格通知を受けたら翌日に必要書類を持ってハローワークに行きましょう。
ハローワークで受講指示書を発行されるので、数日後に開催される合格者説明会に受講指示書を持参して出席します。
この説明会は、訓練期間、または所轄の訓練学校で実施され、欠席した場合、合格取消となるので注意してください。
ここまでが合格通知を受領して1週間で行われ、申し込み手続きの段階でスケジュールは説明されるので、合否に関わらず予定を空けておくことが重要です。
以上で入校日を迎えれば、職業訓練のスタートします。
職業訓練の注意点
実際に職業訓練を経験した上で、合格に至り修了するまでに気をつけるべき注意点がいくつかあります。
コース内容やレベル選びは慎重に
私はWebクリエーターの初級レベルを養成するコースを受講しておりましたが、就職決定以外の理由で途中退校した人が数名おりました。
その内の一人は、全くパソコンができないにも関わらず、Webに興味を持っている程度のレベルで受講していたため、開始から1週間で授業に付いて行けず退校してしまいました。
就職に対する意気込みはあったので選考に合格したのでしょうが、パソコンの基礎コースを選んでいれば職業訓練を最後まで学ぶことができたはずです。
大事な時間を有効活用するためにも、相談窓口や見学会などで情報収集をしっかり行って、自分に必要な訓練を慎重に選択しましょう。
就職する意思のない人はバレます
次に退校した人は、就職の意思がなく個人事業主になりたいにも関わらず、失業保険を受給するために職業訓練を利用していた人がおりました。
申し込み、選考をくぐり抜けて入校したものの、就職の意思がない人は、就職支援の授業や個人面談などで思惑が発覚して注意を受けます。
イエローカード→レッドカードの2段階で注意を受けると退校処分となり、訓練開始までに費やした時間以外に購入したテキストも無駄になってしまいます。
そもそも就職する気がなくて職業訓練を受けようとしても、ハローワークや訓練機関もその道のプロなので、申し込みや選考の段階で見透かされ不合格となります。
合格してもバレにず学校生活を送る努力をするなら、進みたい道に力を全振する方が建設的と考えます。
選考を制すものが合格を制す
合格の近道は、選考で良い印象を残せるかどうかです。
職業訓練の目的は、受講者が就職することにあり、訓練機関や従事する講師の評価は就職実績を上げることで高まります。
つまり、職業訓練で就職できる可能性が高まるかを判断するための選考であり、就職活動の試験や面接と同様の対応が求められるのです。
但し、企業の採用ではなくので職務経歴や年齢を重要視されるのではなく、志望動機や訓練が必要であることをアピールすることが非常に重要です。
論理的に質疑応答ができることや、真剣に取り組む姿勢などは就職面接と同様で、説明会や見学会に参加するのも意欲をアピールすることにつながります。
筆記試験があるのならば事前勉強は言わずもがな必要不可欠ですし、事前の準備を含めて就職活動と同じ努力ができる人間かを見極めるのが選考と言えるでしょう。
職業訓練の感想
私はインターネットサービスやWebサイトに関係する仕事を希望して、Webクリエーターの初級向けコースを3ヶ月間受講しました。
受講開始までの約一月半を費やしてハローワークに何度も通い、訓練先の個別見学や面接のシミュレーションなどの打てる手は全て実践し、しっかりとした事前準備が合格できた要因と考えます。
訓練内容はコースや個人差にもよりますが、私自身には難易度が高く、授業前後に個人勉強したことで、HTMLやCSSといったWebの基本だけでなく、マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)も取得できました。
同じコースに20名ほどの生徒がいましたが、高校や中学と異なり年齢層も幅広いので、全ての生徒と仲良くなった訳ではありませんが、自ら幹事となって講師の先生も含めた打ち上げパーティーは楽しい思い出の一つです。
就職に関しては、採用されるもコロナウィルスの影響で就業開始が延期となり、お世辞にも上手く行ったとは言えませんが、このブログ制作などスキルを高める勉強は今も継続中です。
最大のメリットは失業保険の受給が早まったことで、職業訓練に入校できたことで1ヶ月短縮したことは、全く収入のない失業生活の中で本当に助かりました。
職業訓練は、就職したい意思の表れで書類作成や面接指導のサポートを受けられるメリットの多い制度なので、新しい仕事に就きたい人は是非参考にしてください。