都内の生活から地元千葉へUターンした経験を持つキヨジイです。
Uターンによる地方での仕事に何を求めるのか?目的は人それぞれありますが、転職における環境や地方で働くメリットを各省庁のデータを分析し、実際の地方生活で体感した実情から紐解いていきます。

目次
地方の就労環境
生活のためには仕事をして収入を得なくてはなりませんが、地方に転職する際の働く環境・特性を理解しておくことが重要です。

地方にも仕事はある
地方には仕事が少ないとイメージする人が多いでしょう。
総務省統計局の「住民基本台帳人口移動報告 2019年(令和元年)結果」より、三大都市圏の転入超過数が拡大しており、東京圏だけの15〜29歳の区分で13万2533人が転入超過していることから、今後の働きを担う若者が大都市圏に流れています。
また、厚生労働省所轄である独立行政法人労働政策研究・研修機構の「都道府県別有効求人倍率」では、2020年2月の有効求人倍率が全国平均で1.45倍で、1倍を下回る都道府県は皆無です。
地方の現状として、地域産業を担う現役世代の人口減少が進行しており、経済を維持するための労働力を求めていることは間違いありません。
収入の減少を覚悟する
年収アップを目的にUターンや地方移住を考える人は少ないでしょうが、ある程度の収入減少は覚悟しておきましょう。
厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」より、都道府県別の賃金から全国平均307.7千円より高いのは東京・神奈川・愛知・大阪の4都府県のみです。
同じく厚生労働省の「地域別最低賃金の全国一覧」によると、全国平均の時給901円を上回るのは東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・大阪・京都の7都府県で、三大都市圏と地方で収入に格差があります。
都会と同じ職業・勤務時間でも年収に違いが出るのがデータからも読み取れます。
求められる職種とは?
実際に転職活動をして、求められる職種も少ない印象があり、それには理由がありました。
地方での仕事と聞くと、第1次産業(農業、林業、漁業など)、公共系土木・建築業、医療・福祉サービス、製造業の工場勤務、及びそれらに付随するビジネスなどを思い浮かべます。
人口減少が進む地方では、住民向けの商業・サービス業は需要に合わせて求人募集も少なく、人員が不足する地域の主要産業ばかりが雇用に積極的なことが理由の一つです。
私の住む千葉県を例にすると、空港・港湾があることから物流・倉庫・警備といった仕事と高齢化社会で医療・福祉サービスといった業界の求人情報をよく見かけます。
次の理由として、企業の経営幹部、超難関の国家資格が必要な専門職(医者、弁護士など)、世界有数の技術力が必要なエンジニアなどを一般人が現実的な転職先として考えず、これまでの職業経験・実務キャリア・資格を活かした転職活動を進めることとなります。
都会で求められるマネジメント能力、コミュニケーション能力などの事務系ビジネススキルが必要な職種は、役所、地銀・信金、企業でも管理部門となりますが、地方でのキャリアアップを目的とした中途採用は極端に少なく、都市部のサラリーマンの転職と相性が悪いと言えるでしょう。
最後の理由は、都会に限らず地方でも採用条件に年齢制限を設けており、特に正社員を希望した場合、30代前半までであれば職種・業種の選択の幅が広がりますが、40代・50代となると契約社員やアルバイトなど雇用形態を妥協することで選択肢を増やすしかないでしょう。
実際に40代での就職活動は厳しいものであり、パートタイムでも不採用という結果もありました。
結果として、地方移住して求めらる職種は、地方の基幹産業における労働力を提供する、といった仕事に限られるでしょう。
地方で働くメリット
地方で転職するメリットをいくつか紹介します。
なお、「田舎の人は優しい」や「地方は仕事が少なくて楽」といった感覚的で不確実な情報は除外しております。

満員電車からの解放
国勢調査では10年ごとに通勤・通学の交通手段を調査しており、平成22年(2010年)版が最新情報であるが、15歳以上の自動車だけで通勤・通学する全国の割合は46.5%となっており、東京(9.4%)・大阪(19.1%)・神奈川(19.2%)をはじめとする関東、関西の8都府県が全国平均を下回り、37道府県が5割以上という結果でした。
鉄道などの公共交通機関が整備されていることが理由でしょうが、通勤にマイカーを利用して満員電車から解放される可能性が高まるでしょう。
物価が安くなる
総務省統計局の「小売物価統計調査(構造編)2018年調査結果」より、平均消費者物価地域差指数(全国平均100)の平均以上が東京(104.4)・神奈川(104.3)・埼玉(101.1)・京都(100.7)・千葉(100.5)・石川(100.3)・山形(100.0)の7都府県のみとなっています。
首都圏の指数が高いのは「住居」が影響しており、京都であれば「教育」、石川は「食料」、山形は「光熱費」で地域の特色も影響しておりますが、総じて物価は安くなると考えて良いでしょう。
収入は減少するかもしれませんが、物価も安くなり特に「住居」を購入することを考えれば地方にメリットがあると考えます。
Uターンならば親も安心
このメリットは感覚的なものですが、Uターンにより親と同居、または近居することで安心感を与えられるはずで、特に親が高齢であればあるほど安心感は高まるのではないでしょうか?
介護などが必要になった場合、見知らぬ土地に移動するよりも住み慣れた場所で過ごしたいと考えるのは自然な考えであると考えます。
Uターンでの転職に対する成功とは?
地方での転職は様々なメリット・デメリットが存在しますが、良い選択か否かはUターンする目的が果たせるかどうかです。
目的が家族のためで、家族が安心して生活が送れるのであれば良い選択であり、都会での生き方を変えることが目的で、都会暮らしでの問題がクリアされているのであれば成功だった、と言えるのではないでしょうか。
安定した生活を過ごすためには収入も安定させておく必要があり、地方に限らず転職には相当の覚悟と準備が必要です。
私の場合、突発的に会社を辞めたために覚悟はあったものの準備不足で、親との同居で生活費は抑えているもののコロナの影響で仕事ができず、転職という面では正直失敗と言えますが、親の生活の負担を軽減しているので、Uターンの目的の一つは達成しているのでしょう。
転職で後悔をしたくないのは誰しも同じで、転職をすること自体が人生の大きなイベントであり、地方での転職となると更にハードルが高くなり不安も大きくなるでしょう。
何のためにUターンするのか常に目指す目標を意識して、就職に関する情報収集や移住計画を綿密に練りながら転職活動に取り組んでください。